大関株式会社
1711年の創業以来、清酒などのアルコール飲料、食品類の製造販売などを通じて、“楽しい暮らしの大関”を企業理念に掲げてきた大関株式会社。『ワンカップ大関』は半世紀を超えるロングセラーです。し好品として、また日本料理の調理にも欠かせない日本酒。長年の文化と歴史を築きあげてきた老舗企業です。
今回は、ココナラを利用されているコミュニケーション推進部部長の金沢篤さんに、ココナラをご利用いただいた経緯などについてお話を伺いました。
- ココナラを活用したもの
- 『ワンカップ大関』や『米と麹のあまざけ』など自社商品の、小売店や飲食店に設置する販促POP
- ココナラを選んだ理由
- デザインデータのみの納品も可能で、小ロットのPOP制作にも対応可能だったため
- 出品数が豊富で、さまざまなテイストの出品者から選ぶことができたため
- 誰でも閲覧できるポートフォリオ(作品例)を見ながら選ぶことができ、デザインに詳しくなくても、スムーズにえらぶことができたため
- 事前に予算が確認でき、オンライン上で気軽に発注できたため
1 ココナラ活用の経緯
支店の営業活動に「商品POP」の制作を検討、小ロット制作が可能な発注先を探していた
―ココナラをご利用されようと思った背景を教えてください。
ココナラを利用し始めた頃、私は名古屋支店の支店長を務めており、東海北陸エリアの小売店(スーパー・酒販店)や飲食店に向けて、自社商品を置いてもらうための営業活動を統括する立場にありました。具体的には、これらのお店に対して、『ワンカップ大関』など定番商品の継続納入や販売促進の提案はもちろん、新たな商品の取り扱いを増やしてもらえるよう、支店の営業メンバーが日々企業の本部バイヤーに対して営業していました。
しかしながら、昔と今では「人々のお酒のたしなみ方」は変化しており、昔のように"ただ酔うためだけにお酒を飲む"という人は減っています。それよりも今は食事とお酒のペアリングを楽しんだり、色々なお酒の楽しみ方をする人が増えており、これに伴って一人あたりの飲酒量も昔よりは減っている傾向にあります。
そして、このような傾向の変化から、各企業の本部バイヤーへのアプローチにおいても、「新たに取り扱い品目を増やすというよりも、商品を絞り込む傾向が強くなってきた」「新たな商品・販促について仮説をもとに提案しても、受け入れてもらえないことが多くなってきた」という状況が発生していました。
このような状況を鑑み、「従来通りの販促手法からの見直しをしないといけない」と考え、出てきたのが「新しい商品POPの制作」です。
実は上記のような状況に加えて、清酒の商品競争自体もかなり厳しいものです。約1,400社ほどの酒蔵の中で、1社につき10商品を製造しているとすると、業界全体では1万以上もの商品が存在し、その中でスーパー1店舗に並ぶのは、1%に満たない100商品あるかないか。この中で自社製品を置いてもらうためには、「まず限られた店舗で構わないので、テスト的に販売してもらうこと」なら可能性があるのではと考えました。その販売されたお店で、当社の他の商品の魅力に気づいてもらうことが重要であると。
従来のPOP制作は、各営業マンがそれぞれ営業時間の合間にパワーポイントで、自分で作成していました。POPの内容は、例えば「ワンカップの大関」の場合、商品写真が入って「辛口」「丁寧につくった大吟醸」など、スペックをそのまま表現するものというノーマルなものでした。そこで、ノーマルでお堅いPOPではなく、”エッジのある、刺さるPOP”できちんと商品を訴求することが必要だと考えました。
では、「どうやってそのPOPを制作しようか?」と社内で話していたとき、ココナラをすでに利用していた支店の女性社員からココナラのことを教えてもらいました。彼女は以前から、プライベートで子どもの英会話教室のポスターやPOP作りを依頼していたようです。別の場面でも、知り合いの飲食店からお店のオープン時にココナラでロゴ作成を依頼した、という話も聞き、ココナラでの発注を検討しました。
―なぜココナラで発注しようと思われたのでしょうか。
今回は支店単独での新しい取り組みだったため、「事前に予算が確認でき、オンライン上で気軽に発注できる」というココナラのシステムが合っていると感じたためです。
通常、このようなPOPの制作は広告代理店や制作会社に依頼しているのですが、この場合、最終的には紙に印刷された状態で納品されるのが普通です。印刷の最低発注枚数は数百枚・数千枚単位で決まっており、少ない枚数だと単価も上がるため、最終的な予算が高額になってしまいます。が、前述の通りこのPOPなら売れるという答えが見えない中で、「実験的に、支店単独で利用する単位でPOPを制作したい」といった場合にはあまり向いていませんでした。
その上で、ココナラをのぞいてみると、さまざまなテイストのデザイナーの方が在籍しており、デザインデータのみでの納品も可能という方が多数いました。しかも、デザインのみの依頼であれば、複数名のデザイナーの方に依頼しても、十分予算内におさまる金額でした。発注もオンライン上で気軽にできるので、今回のような新しい取り組みを行う上では、何かと自由に進めやすいなと感じ、ココナラで発注しようと考えました。
2 ココナラ導入事例
現場の社員発のアイデアが反映された、”刺さるPOP”を多数制作
―実際にはどのようなものを発注されましたか。
商品ごとに訴求ポイントを分けたPOPの制作を依頼しました。訴求ポイントは現場の社員が考え、各出品者の方にはそれが伝わるようなデザインを依頼しました。
先ほどのお話の通り、予算にも十分おさまる金額だったので、社員にも「これぐらいなら大丈夫。どんどん頼んで」と言って、複数の出品者の方に次々と発注させていただきました。
〈『ワンカップ大関』の新しい飲み方をPOPで提案〉
まずは、おなじみの「ワンカップ大関」のPOP。発売から55周年を迎えるロングセラー商品で、幅広い消費者の方にご愛顧いただいてます。
これまで、この商品は「夏のお彼岸の時に売り場を広げてください」という訴求でPRしてきました。しかし、今回はこの商品の新たな側面をアピールできるようにしたいと考え、制作したタイミングが秋口だったこともあり、「レンジお燗」という新しい飲み方を提案する内容で制作してもらいました。
『ワンカップ大関』はロングセラーかつ大衆向けの商品のため、このようにホットでの飲み方を訴求しようという場合は通常、何千万かけてCMを打つとか、かなり大掛かりなものになってしまいます。しかし、ココナラを利用すれば、制作部分を発注して支店単位で試すことができるので、「まずは自分たちのできる範囲でやってみる」ができるようになるのが利点だなと思います。
〈『米と麹のあまざけ』では、生活シーンごとに飲み方を提案するPOPを制作〉
2つ目は弊社で扱っている甘酒の1つ、『米と麹のあまざけ』のPOPです。酒かすベースの甘酒は弊社でも古くからある定番商品の一つですが、昨年くらいから起きつつある「米麹甘酒ブーム」を追い風に、よりこの分野でも販促を強化したいと考えており、制作を依頼しました。
このPOPも支店の営業メンバーがPOP制作の会議で案を練る中で、「日々の生活シーンごとに分けてPOPにするのはどうか」というアイデアが浮上し、デザイナーの方にはこのアイデアを形にしていただきました。
POPにある、「朝ごはんの代わりに〜」「お風呂上がりに〜」といった具体的なシーンも、営業メンバーがこういうシーンで提案するのが良いのではないか、と実際に考えたものです。
これら以外にも、『にごり酒』『スパークリング日本酒花泡香』『わが家のレモンサワーの素』なども、新たな商品POPの制作をココナラで発注しました。
特に『にごり酒』のPOPは、飲食店で来店されたお客様に向けて、新しい飲み方を提案するために制作してもらいました。実はこの『にごり酒』はソーダで割ると、”にごりハイボール”という飲み方ができるんです。POPでは爽やかな味を表現してもらうために、「シュワっと爽快 スキッと辛口」や「辛丹波 にごりハイボール」というキャッチコピーにグラスの絵を入れてもらいました。
―出品者の方はどのようにして選ばれたのでしょうか。
選んだ決め手は、”フィーリング”でした(笑)。出品者の方のポートフォリオ(作品集)を見ながら、部署のメンバーで『この絵、かわいい!』『これ、ええんちゃう?』と話しながら、選んでいきました。
ココナラのポートフォリオ機能では、出品者の方の作品が公開されており誰でも閲覧できます。このため、複数名での閲覧に向いており、支店の営業メンバーと一緒に選定する際にとても役立ちました。デザインに関して素人の私たちでも、出品者の方の得意な分野や実際のデザイン例を確認できるので、選びやすかったです。
―出品者の方とのやりとりはどのようにされましたか。
実際の発注やその後のやりとりは、社員が窓口となって行いました。初めての利用でしたが、システムが使いやすかったのですぐに慣れて、その後はスムーズに進められるようになっていました。
社員が行った発注の履歴やその後の経過、やり取りした内容もトークルームの履歴に残るため、後で確認することもできるので便利でした。
―制作したPOPの反響・効果はいかがでしたか。
まずは一部の店舗で試してみようということで、営業担当が社内のプリンターで印刷したPOPを自分が担当している企業の本部に持参して、スーパーの売り場や飲食店の店内で、実験的に設置させてもらえないかをバイヤーに打診しました。「うちの商品を入れてください」よりも「販促のPOPを設置させてください」の方がハードルは低いので、基本的にダメと断られるということはないですよね。その結果、2〜3店舗でPOPを設置してみたところ、実際に当社商品の売上が上がり、商品の陳列店舗数を増やしてもらえるようにもなりました。
この結果を受けて、まだ設置していなかった他の店舗にも広げるため、「このPOPを設置した別のお店では、こういう成果が出たので、ぜひ設置させてください」と提案し、導入店舗を増やしていきました。最終的には、ほぼ全店舗で設置して頂ける企業も出てきたりと、店舗全体の商品売上や取り扱い数も増やすきっかけになりました。
また、今回の取り組みは、単に売上や取り扱い数を増加させる効果だけでなく、営業メンバーのOJTにもなり、”自分たちで考えて提案できる営業”を育てる効果もありました。
実はこれまでの営業活動では、本部が作った提案資料をそのまま営業先に持参し、「提案したが清酒のトレンドがよくないから断られた」というケースがよくあり、御用聞きではなく、提案までできるような営業を育てることも1つの課題でした。『人から言われたのをただやるのは違うだろう、自分たちで考えたことをやらんかい(笑)』と。
しかし、今回の「自分たちで考えた商品の訴求を、ココナラの出品者の方にPOPのデザインに反映してもらい、そのPOPを持って営業にいく」という、自分たちで考えて動くプロセスを踏んだことで、現場の自主性が出てきたと感じました。先ほどの話の通り、この取り組みが実際の成果にも繋がっているため、成功事例になったと思います。
―法人利用の観点から、ココナラのメリットはどのような点だと思いますか。
やはり、オンライン上で気軽に発注できるので、チームレベルや支店単位で新しい取り組みをする際に、使い勝手が良いと感じています。
ココナラは、デザイン発注をしたことがない社員でもすぐに使いこなせてしまうくらい、出品者の方を探すところから発注・実際のやりとりまで、一連の流れが非常に簡単でした。
特に出品者の方を探すところでは、ポートフォリオなど出品者の方の情報が誰で簡単に見られることが便利でした。法人の場合、発注先を決める際には決裁者や他の社員の確認も必要なケースがあるため、複数名でページを見ながら選べるのはやりやすいです。
また、沢山のデザイナーが出品しているので、その中からマッチしそうなデザイナーの方を、商品ごとに自分たちで選んで発注できることも良かったです。
例えば今回の例で言うと、『ワンカップ大関』なら、飲み方を提案する内容なので”目に飛び込むデザインができそうな人”、『米と麹のあまざけ』は女性がターゲットだったので、”やわらかい・優しい感じのデザインができそうな人”など、POPによってマッチするデザイン・出品者の方は異なります。
今回ココナラで制作したPOPで成果がでたのも、豊富なバリエーションの中から自分たちで最適なデザイナーの方を選んで依頼できたことで、”刺さるPOP”に仕上がったのではないかと思っています。
3 今後の展開
全国の支店にココナラの活用を展開し、”自分たちで考えて提案できる営業”を増やしていきたい
―今後、ココナラをこんな風に活用していきたいというご希望はありますか。
実は私はその後異動して、現在は本社のコミニュケーション推進部の部長として、会社全体の宣伝・広報の責任者を務めています。
このため、今後は名古屋支店での経験をもとに、全国の支店が自分たちでココナラを活用しながら「自分たちで考えて提案できる営業活動」が可能になるよう、利用を推進していきたいと思っています。本社から全国に展開していくには、支店で自分たちがやっていたのとは異なり、運用ルールなども整備しておいた方が良いと思うので、これらの仕組みも今後整えていく予定です。
それぞれがココナラを利用して営業活動を進める中で、今回のようにうまくいった成功事例が出てきたら、それも他の支店や営業マンにも横展開して、全社の営業力強化に繋げられたらと思っています。
法人アカウントも登録したので、請求書払いも活用していく予定です。
大関株式会社
銘酒を作り続けて300年以上。代々の蔵人達が継承し続けてきた独自の技術と酒造りへの熱い想いを生かした、おいしいお酒を作り続けています。古くからの日本食文化を支える「発酵」技術の歴史を生かし、現代の生活スタイルや消費ニーズに合ったお客さまの健康で「楽しい暮らし」に役立つお酒を人々に届け続けています。
会社サイト:https://www.ozeki.co.jp/